まるで夢のような時間を過ごした…。
今年の夏、ANA-SPY'Zに在籍しているという立場ながらも新たな縁が生まれ、素晴らしいギタリストと出会った。
一回りはおろか気の早いヤツなら親子にだってなりかねない程に年齢の離れた男の子なんぞ、まず知り合える訳がないし、知り合えても話が合う訳がない、普通なら…。
普通じゃない事が起きた!
彼のプロジェクトに参加するチャンスを貰ったのだ。
若干21歳ながらそのギターテクニックは勿論、うわべの技術だけでなくそれはしっかりとした基礎に裏付けされたもので、本当にこうあるべきというようなピッキング、フィンガリング、チョーキング、タッピング…それはもう若さを越えた見事なモノだ。
また、テクニックだけでなくバンドマンとしての精神的なモチベーションの高さも実年齢を遥かに上回っていて、放っておいても彼は近い将来、新世代のギターヒーローにだってなり得るであろう”器”の男だと直感してしまうほど。
オレなりに長いことバンドをやってきて、何人かの素晴らしいギタープレイヤーに出会って来たが、彼のレベルの高さは全く引けを取らないし21歳という年齢を考えるとやはり上回っているかもしれない。
そんな彼の作り出す曲はというと、これが若さ全開!(笑)
自分の若かりし青春時代を蘇らすにさほどの時間も必要ないであろう、心の歪みもひねくれた感情も欠片もない、本当に真っっっっ直ぐな曲。
叩く側としては、体力的にはひっじょーにしんどい!(泣)
、、、なんだけど、かといって単調にならない、ドラマティックな構成力にも長けていて、実にクオリティの高い曲を作り出す。
このプロジェクト、残りのメンバーも22〜3歳で固められ(まぁそれは当たり前だわな)、どうみてもオレが抜擢されてる事に大きな違和感を感じずにはいられない。
自分の目から見える視界(メンバーのみんな)と自分自身が溶け込めているのか、見当も付かなければ全く自信もない。、ってゆうか溶け込めてはいないだろう…。
おそらくは彼達と同世代、もしくは5〜6年程度のキャリアのドラマーでは彼の作る曲を再現出来ないのだろうと、その上現代的なハイブリッドなメタルサウンドというよりは一〜二世代前のスタイルという感じが強く、その辺が若輩者には出来ないアプローチだったのではないだろうかと、それがオレみたいな古めのメタルドラマーにはぴったりだったのかもしれない…という事での抜擢だったのではないかと勝手に推測している。
8月下旬から数回にわたりスタジオに入り、僅か1ヶ月後の9月下旬に2曲のレコーディングを敢行。
正直完璧な仕上がりになっていたとは思えなかったが、”予め決めてある2曲を1ヶ月も時間があるのに仕上げられない事の方が問題”っていう、確かに言い得ているが実に厳しい意見。
いや、なんつーか、自分のキャリアなんかかなぐり捨てて食らいついてでもこの短い時間でポテンシャルの高い演奏を出し切ろうと挑んでみた。
それだけレベルの高い2曲だった。
1曲はテンポ178bpm(原曲は174bpmながら、レコーディングでいきなりのスピードアップを要請された!)、構成のほとんど90%以上が2ビート(16ビートが2小節だけある)、そのうちの80%近くがツーバス16分、ブレイクは中間ギターソロ前に4小節のみ…だがここも実際は4分でキックを踏んでいる為、実質全く休み無しで約4分30秒を本当に言葉通りに”駆け抜ける”超疾走メタルナンバー。
まぁ、ちょ〜分かり易く簡潔に言ったら初期Xのような感じですよ…。
そりゃあね、ハタチそこそこの子に叩ける訳がないですわ、恥ずかしながら小生も経験と意地と気合と…出せるもん出しまくっての挑戦だったもん。
もう1曲はテンポ190bpmで8ビート、ほぼ全編にわたり8分をワンバスで踏みっぱなしという持久戦(笑)。
加えてこちらもブレイクはほとんど無く、要所にツーバスやグラインドも入り込む、かなーりコアな曲調。
エンジニアを業としている某バンドマンさんに個人的にエンジニアリングを依頼し、ミキサーからマイクから全てこの人の個人機材をお借りしてのレコーディングでしたが、まぁほとんど一般的なレコーディングスタジオ常備の機材に負けてはいなかったので、いやぁ、その録音のクオリティったら、なかなかのもんでしたよ!
この時のセッティングはこんな感じでした。
通常のスタジオの3点セットにメロタム8”&10”を追加。
特徴はシンバルでお店常備の18”チャイナをセッティング正面にセットし、自分の20”チャイナを右手側にセット。ライブの時は限りなく垂直に近い位に立てる人ですが、レコーディングでは音量を考慮して水平にセットしてみました。
爆発力のあるかなりいい音、、、出てたんだけどね。
しかしながら…
このレコーディング音源は幻となりました。
結局のところ、プロジェクトメンバーの取り組む意識の温度差、実質的な技術のバランスの悪さ、その結果の仕上がりの低さ…こういった事がはっきりと露呈した形になりまして、このプロジェクト自体分解、終了させるという事になり、残念ながらこのレコーディング音源が公開される事は全くなくなりました。
ドラムってさ、簡単に宅録とか出来る楽器じゃないからさ、やっぱりレコーディング出来るとなったらそれはもう良い演奏を残したいし、録ったからには絶対形に残して欲しいよね…。
でもさ、若い子達ってPC持ってりゃあいとも簡単に宅録し放題だし、ループをコピペ出来ちゃうから1曲通して演奏し切るっていう、バンドマンとしての全く当たり前な最低レベルの技術が無いんだよ。
道具が便利になりすぎても問題だわ。
てゆうか便利な道具をムダにしない為に必要な技術、それは多分我々世代の最低レベルよりもっと低いモノだろうけど、それがないんだよね。
絶対関わる事もないであろう世代の違うバンドマンとのスタジオそしてレコーディングは非常に良い経験となった。
まぁいつの時代もそうだろうけど、結局は残れる子と残れない子はその意識自体全く違うという事がはっきり分かった。
やっぱり絶対必要なのは”ポテンシャルの高さ”でしょうね〜。
この夏出会った”彼”は絶対に上に行けるだろうし、なんとしても行って貰いたい。
オレが力になれる事はあまりないけれど、ずっと応援していきたい。
彼の今後の動向がはっきりしたら、また改めて紹介しましょう!